在宅介護事業所における職業能力評価基準の活用について ~「25_在宅介護業|厚生労働省」を踏まえて~

目次

1.職業能力評価基準を活用してほしい在宅介護事業所

2.職業能力評価基準をベースにした枠組み

3.職業能力評価基準等の各種ツールの内容

4.OJTコミュニケーションシートの具体的な活用

5.職業能力評価基準のカスタマイズ

6.結び

7.補足

1 職業能力評価基準を活用してほしい在宅介護事業所

1.全国的な基準に対する自社職員の職業能力レベルを知りたい。

3.自社職員個々人の職業能力の強み・弱みについて知りたい。

4.人事考課の面接の際に活用できる上司と部下とのコミュニケーションツールがほしい。

5.基準がわかりやすく簡単に使える評価方法が知りたい。

2 職業能力評価基準をベースとした枠組み

3-①職業能力評価基準の内容

1.厚生労働省が、我が国の「職業能力評価制度」の中心をなす公的な職業能力の基準として整備したもの。

2.仕事をこなすために必要な「知識」と「技術・技能」に加えて、「成果につながる職務行動・職務遂行能力」を業種別、職種別,職務別に整理したもの。

3.職業能力評価基準をベースとして,関連する4つのツールが開発されている。

3-②キャリアマップの内容

1.職業能力評価基準をベースとして設定したレベル1~4階層をもとに、各業種の代表的な職種における能力開発の標準的な道筋を示したもの。

2.キャリアマップでは、キャリアの道筋と各階層レベルの習熟の目安となる標準年数が分かるようになっており,職員がキャリアの歩み方を確認することができるもの。

資料出所先:「厚労省 キャリアマップ,職業能力評価シート・活用マニュアル   在宅介護業の人材育成のために」

3-③職業能力評価シートの内容

1.職業能力評価基準に基づき、人材育成に必要な項目をチェックできる形式にした評価シート。

2.評価シートによって,部下の職業能力レベルはどの程度なのか,次のレベルに上がるには何が不足しているのか,を具体的に把握することができる。

資料出所先:「厚労省 キャリアマップ,職業能力評価シート・活用マニュアル  在宅介護業の人材育成のために」

3-④OJTコミュニケーションシートの内容

1.職業能力評価シートでの評価結果が一目で分かるようにグラフ化し、そこから従業員の強み・弱みが把握でき,今後の育成課題や能力開発目標を書き込むことができるシート。

2.従業員の強み・弱みが上司と部下で一目で共有することができ,面談時に目標達成に向けたコミュニケーションツールとなるシート。

資料出所先:「厚労省 キャリアマップ,職業能力評価シート・活用マニュアル  在宅介護業の人材育成のために」

3-⑤人材要件確認表の内容

1.新規採用や中途即戦力採用(経験者採用)を行う際の面接シートとして活用できるもの。

2.応募者が職業能力評価基準で定義している職務行動(思考・行動特性)を有しているかどうかを確認し、採否を判定する資料となるもの。

資料出所先:「厚生労働省 職業能力評価基準 在宅介護業」

5-① 職業能力評価シートのカスタマイズ

職業能力評価基準をベースとした職業能力評価シートの内容は汎用的なものなので,自社の実態に合わせてカスタマイズする必要があります。

1.自社の業務内容が書かれていない項目は新たに追加する。

2.自社の業務内容にない項目は削除する。

3.表現内容が理解しずらい項目は自社で使っている言葉に置き換え修正する。

4.各階層レベル(1から4レベル)の業務内容は自社の等級制度のレベルに合わせて変更する。

5-②キャリアマップのカスタマイズ

1.自社の等級レベル毎に設定しているスキル習得年数を参考として,キャリアマップの各段階(1~4段階)の経験年数を設定する。

2.同時に,キャリアマップに対応した4段階の職業能力評価シートのスキルレベルを参考にして自社の等級レベルを4段階に設定する。

6 結び

1.P.F.ドラッカーは,「組織の目的は,人の強みを生産に結び付け,人の弱みを中和することである」,そして,「自らの仕事ぶりを自己管理するためには,自らの目標を知っているだけでは十分ではない。目標に照らして,自らの仕事ぶりと成果を評価しなければならない。そのための情報を手にすることが不可欠である」と語っています。

2.職業能力評価基準をベースとした各種ツールを活用すれば,個々の社員の強み・弱みを視覚的に把握することができます。さらに,コミュニケーションツールとすることで,上司と部下とで情報共有をし,成果を評価することができます。その結果,P.F.ドラッカーが言う部下の自己管理能力が向上します。

7 補足

1.職業能力評価基準をベースとした各種ツールは,厚生労働省が整備し公開しているもので無料で利用することができます。しかも,各種ツールは既に様式化されているので,開発する手間やコストがかかりません。

2.しかしながら,自社の実態に合わせて活用できるようにカスタマイズする必要があります。

3.今後,各種ツールをカスタマイズして活用したいと考えている事業所様がいらしゃいましたら,是非,当方にご相談ください。