コンテンツへスキップ
ナビゲーションに移動
目 次
1.安全配慮義務とは
2.安全配慮義務違反に問われない新型コロナウイルス感染症対策
3.労働衛生5管理による新型コロナウイルス感染症対策
4.感染者等が出た場合の対応
5.コロナ禍での新しい働き方の推進
6.新型コロナウイルス感染症と休暇制度
7.新型コロナウイルス感染症と休業手当
安全配慮義務とは
1.労働契約法第5条には「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」とされている。
2.従って、使用者は、民事上労働者を新型コロナウイルスの感染の危険から保護するよう配慮すべき義務を負っている。
3.この義務に違反した場合は、使用者は、民法第415条の債務不履行による損害賠償責任を負うことになる。
安全配慮義務違反に問われない新型コロナウイルス感染症対策
1.安全配慮義務は、民事上の使用者の義務ですが、判例上、労働者の安全と健康を守る労働安全衛生法諸法令が斟酌されるとされている。従って、新型コロナウイルス感染症に関する安全配慮義務については、労働安全衛生法諸法令や新型コロナウイルス感染症に関するガイドライン等の遵守が前提となる。
2.判例(最高裁昭和59 年4月10 日第三小法廷判決)によると、安全配慮義務は、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によって異なるとされている。従って、個々の職場の状況を踏まえて、産業医等の産業保健スタッフの専門的助言に基づき、具体的に感染症対策を講じることが必要になる。
労働衛生の5管理による新型コロナウイルス感染症対策
安全配慮義務の解釈基準として、労働安全衛生法の諸法令が斟酌されることから、新型コロナウイルス感染症対策については、安全衛生の基本的対策となる労働衛生の5管理の枠組みを用いて対応することが大事となる。
1 労働衛生管理体制の確立
2 作業環境管理
3 作業管理
4 健康管理
5 労働衛生教育
労働衛生管理体制の確立
1.経営トップが新型コロナウイルス感染症対策に積極的に取り組むことを表明し、従業員に感染予防の重要性を伝える
2.会社の感染予防のルールを作成し従業員に周知する。
3.感染症担当者(衛生管理者、衛生推進者等)を選任し、安全衛生委員会や衛生委員会で産業医参加の中で感染症対策を検討していく。
4.厚生労働省や都道府県等から最新の情報を収集し、従業員に周知していく。
作業環境管理
1.三密を回避するため、人と人との物理的距離を保つ作業環境を整え管理していく。フットスタンス、アクリル板の仕切り、休憩室等の利用制限等を検討していく。最近は、マイクロ飛沫感染も指摘されていることから、特に定期的な換気が重要である。
2.平素からの職場の消毒を徹底し、特に、不特定多数が使用するドアノブや手すり、共有する電話の受話器やボタン、共有車の清拭が必要となる。消毒方法は、70%以上のアルコール消毒剤や0.05%に希釈した次亜塩素酸ナトリウムを使用する。
作業管理
従業員の個々の行動としての作業管理は、私生活にも影響するので、次のような新しい生活習慣を根付かせる必要がある。
1.マスク装着
2.身体接触を避ける
3.正しい手洗い
4.顔iに触れない
健康管理
1.従業員自身による日常的な健康状態の確認
①朝夕の体温測定
②発熱や風邪症状がある場合の上司への報告
➂体調不良者を出勤させないルール作り
④従業員が気楽に連絡・相談できる雰囲気づくり
2. 重症化リスク因子をもつ従業員への対応
①時差出勤等通勤の感染予防の配慮
②会議や研修のウェブ化
➂不特定多数者との接触・対面の回避
④不急の出張や感染拡大地域への出張回避
労働衛生教育
1.従業員の平素の体調管理教育
2.手洗い等の励行など感染症を予防する「新しい生活様式」や自社の新型コロナウイルス感染症対策の取り組み・ルールの教育
3.新型コロナウイルスの陽性者等あっても解雇その他不利益な取り扱いを受けないこと及び差別的な取り扱いを禁止することの教育
感染者等が出た場合の対応
1.発熱や風邪症状を認める場合
①「37.5°C以上の発熱」や「強いだるさや息苦しさ」がある場合は、保健所の新型コロナウイルスの受診窓口に相談する。
②職場復帰の目安としては、発症後少なくても8日間が経過しており、かつ薬剤を服用しない状態で解熱及び症状消失後少なくとも3日が経過していること。
2.新型コロナウイルスに感染した場合
①新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者が出た場合は、その旨保健所に連絡し指示を受ける。
②職場復帰の目安としては、発症後少なくても10日間が経過しており、かつ薬剤を服用しない状態で解熱及び症状消失後少なくとも72 時間が経過していること。ただし、入院していたり、症状が重かったりした場合は主治医と相談の上対応すること。
コロナ禍での新しい働き方の推進
1.テレワークの推進
2.時差出勤の推進
3.オンライン会議やペーパーレス化の推進
4.フリーアドレス制の導入
5.産業保健スタップのウェブ面接の推進
新型コロナウイルス感染症と休暇制度
新型コロナウイルス感染症者が出た場合や発熱やだるさがあり新型コロナウイルスの感染が疑われる場合及び濃厚接触者とされた場合に、従業員を休ませる休暇制度として、次のものが考えられる。
る。
1 年次有給休暇
事業所の方で強制的に取得させるようなことは認められない
2 病気休暇
もともと就業規則に規定のある休暇
3 新型コロナウイルスに関する特別の休暇制度の創設
新型コロナウイルスに関係する場合に限定し新たに就業規則に規定する休暇
新型コロナウイルス感染症と休業手当
1.感染症法による就業制限の場合は休業手当の支給義務はないが、従業員が健康保険加入者であれば傷病手当金が支給される。
2.感染者以外(感染が疑われる者・濃厚接触者)に対する感染拡大防止のために自主的に休業させた場合は休業手当の支給義務がある。
3.新型コロナウイルス感染症によって事業の休止を余儀なくされ、やむを得ず休業とした場合は、原則として、休業手当の支給義務があるが、不可抗力による休業と認められる場合は、休業手当の支給義務はない。
参考資料
関連