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パワハラ防止対策強化のため、労働施策総合推進法が制定されました。
(令和元年6月5日公布)
パワハラ防止対策強化の背景について
1 職場のいじめ・嫌がらせに関する都道府県労働局長への相談件数は、6年連続でトップとなっており職場環境を悪化させている。
2 職場のいじめ・嫌がらせは、労働者のメンタルヘルス不調の原因となり、最悪は過労自殺に繋がる可能性がある。
労働施策総合推進法の内容について
1.パワハラの定義が法律上明記された(法32条の2第1項)
2.雇用主に雇用管理上の措置を講ずることが義務付けられた(法32条の2第2項)
3.パワハラの定義や具体的な雇用主の雇用管理上の措置について、厚生労働大臣が「指針」を定めることとなった(法32条の2第3項)
4.パワハラに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会による調停の対象とするとともに、措置義務等について助言、指導、勧告等の規定が整備された(法33条)
5.法施行は、原則令和2年6月1日であるが、中小事業主は令和4年4月1日とされた
パワハラの定義について
1. 職場において行われる優越的な関係を背景とした言動(上司のほか、同僚又は部下及び同僚又は部下からの集団的行為も含む) であること
2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動であること
3. 労働者の就業環境が害されること
1から3の全ての要件を満たすものがパワハラであり、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は該当しないとされた
パワハラ指針に、代表的なパワハラ言動の6類型が示され、それぞれにパワハラに該当する例と該当しない例が示された(一部を掲載する)
1 身体的な攻撃(暴行・傷害)
(該当)殴打、足蹴りを行う
(非該当)誤ってぶつかる
2 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
(該当)人格を否定するような言動を行う
(非該当)遅刻など社会的なルールを欠き、再三の注意で改善しないための一定程度の強い注意
3 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(該当)自分の意に沿わない労働者に対し、仕事を外し、長期間にわたり別室に隔離する
(非該当)新規採用者育成のため短期間集中的に別室で研修を実施する
4 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
(該当)長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずる
(非該当)労働者を育成するために現状より少し高いレベルの業務を任せる
5 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
(該当)管理職である労働者を退職させるため誰でも遂行可能な業務を行わせる
(非該当)労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減する
6 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
(該当)労働者をを職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりする
(非該当)労働者への配慮を目的として労働者の家族の状況等についてヒヤリングを行う
パワハラの判断基準について
1.パワハラ6類型の該当行為は典型的なパワハラとなる
2.パワハラ6類型の非該当行為はパワハラにはならない
3.それ以外の行為者の言動については、パワハラ要件の「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」か否かで判断する。
4.「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」か否かは、①行為者の言動の意図、②行為者の言動の態様、③行為者と被害者の普段のコミュニケーションの状況、④会社の社風や伝統、⑤被害者がパワハラと感じた理由等を個別具体的に考慮し判断することとなる
パワハラ指針に示された事業主の雇用管理上講ずべき義務について
企業のパワハラ対策の基本的枠組みについて
まとめ
企業が生産性を高め継続的に利益を上げていくためには、そこに働く全ての人が、健康で元気にいきいきと働くことのできる職場環境が必要です。パワハラを放置すると職場環境はどんどん悪化していきます。被害者に大変な精神的苦痛を与えるだけでなく、企業に深刻なダメージを与えます。裁判沙汰になるとSNSで「ブラック企業」とのレッテルが張られていまい、企業の信用は失墜します。
パワハラ防止は待ったなしです。パワハラ防止対策として、相談窓口の設置、就業規則等の整備、管理職研修などがありますが、最も大切なことは、企業のトップが「パワハラは絶対許さない」という強いメッセージを全社員に発することです。社員はトップの姿勢を注視しています。
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