健康経営と法令遵守

健康経営のイメージ

1 法令遵守
   従業員の健康管理を法的責任と捉える
2 CSR
   従業員(利害関係者)の健康管理を企業の社会的責任と捉える
3 健康経営
   従業員の健康管理をコストではなく、企業が成長するための投資と捉える

健康経営と法令遵守

1.健康経営において、法令遵守は、その基盤と成すものである
2.労働者保護の観点から、従業員の健康管理については、労働基準法・労働安全衛生法等による公的規制がある
3.さらに、労働契約法上の安全配慮義務による民事的規制がある。そのため、労働基準法等の法令を遵守するだけでなく、厚生労働省が作成する各種指針やマニュアル等を遵守しなければ安全配慮義務違反に問われることがある
4.健康経営の法令遵守の内容は、健康経営優良法人の認定要件の中で示されている

健康経営優良法人認定要件としての法令遵守

1.定期健康診断の実施
2.保険者による特定健康診査・特定保健指導の実施
3.50人以上の事業場におけるストレスチェックの実施
4.従業員の健康管理に関連する法令について重大な違反をしていないこと

定期健康診断の実施

1.定期健康診断の対象者
・常時使用する労働者(安衛規則第44条)
・有期労働者については、1年以上雇用され、かつ所定労働時間数が通常の労働者の4分の3以上である者(行政通達 平成 19 年 10月1 日基発第 1001016 号)
2.定期健康診断の実施
・事業者の実施義務(安衛法第66条)
・健診実施結果の記録(安衛法第66条の3)
健康診断結果の労働者への通知安衛法第66条の6)
・健康診断結果の所轄労働基準監督署長への報告 ( 安衛法第100条)
3.定期健康診断の結果判定
・健康診断の結果についての医師等からの意見聴取(安衛法第66条の4)
・健康診断の結果に基づく保健指導( 安衛法第66条の7)
・健康診断実施後の事業者の措置(安衛法第66条の5 )

保険者による特定健康診査・特定保健指導の実施

1.事業者は、保険者の特定健康診査・特定保健指導を実施するか、又は実施保険者の求めに応じて健診データを提供すること
2.事業者は、特定健診等の実施率向上のため、所属長経由で対象者に案内をしたり、衛生委員会を活用し周知していくこと
3.事業者は、対象者が受診しやすいように特定健診等の場所の提供や出勤認定・特別休暇設定に取り組むこと

50人以上の事業場におけるストレスチェックの実施

1. ストレスチェックの前
・事業者の実施義務(安衛法第66条の10第1項、安衛法規則52条の9)
・衛生委員会での審議(安衛法第18条、安衛法規則22条)
・検査実施者は医師等(安衛法第66条の10第1項、安衛法第52条の10)
2.ストレスチェックの結果
・実施者が実施結果を本人に通知(安衛法66条の10第2項)
・高ストレス者の申出による医師の面接指導(安衛法66条の10第3項、安衛法規則52条の15、安衛法規則52条の16)
・医師の面接指導結果に基づく医師の意見聴取(安衛法66条の10第5項、安衛法規則52条の19)
・医師の意見聴取に基づく事業者の就業措置(安衛法66条の10第6項)
・検査結果の集団分析(安衛法規則52条の14)
3. ストレスチェックの記録等
・事業者の検査結果記録の作成(安衛法規則第52条の11)
・事業者の面接指導結果の記録(安衛法66条の10第4項、安衛法規則第52条の18)
・事業者の心身の状態に関する情報の取扱い(安衛法第104条)
・事業者の秘密保持(安衛法第105条)
4.ストレスチェック及び面接指導結果の報告
・労基署への検査結果報告(安衛法規則第52条の21)

従業員の健康管理に関連する法令について重大な違反をしていないこと

1.労働基準法、労働安全衛生法等の従業員の健康管理に関する法令に係る違反により、送検されてい る、行政機関により法人名が公表されている、又は是正勧告を受けたが是正措置を講じていないこと
2.長時間労働等に関する重大な労働基準関係法令の同一条項に同一の事業場において是正勧告書で繰り返し指摘されていること
3.違法な長時間動労を繰り返し行う企業の経営トップに対する都道府県労働局長による是正指導の実施に基づき企業名が公開されていること
4.労働安全衛生法第 78 条又は第 79 条に基づき安全衛生管理特別指導事業場に指定されていること