健康経営フレームについて

 健康経営の全体像を理解していただくため、健康経営プレームとして分かりやすく図解してみました。

1 健康経営ってなに?

 健康経営とは、「従業員の健康づくりに投資をして企業の生産性を高めていく」経営です。
(健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です)

2 健康経営の背景にある考え方は?

 企業は、一方で、優秀な人財を採用し定着させたい、企業の生産性や企業価値を高めたい、組織を活性化させたい、といった理想があります。しかしながら、他方で、離職者が出てもなかなか人財を確保することができない、メンタルヘルス不調者や病欠者が出て生産性が上がらない、社内のコミュニケーションがなく活気がない、といった現状があります。企業が持続的に成長していくためには、この企業の理想と現状とのギャップを埋める必要があります。
 健康経営は、従業員の健康づくりに投資することでこのギャップを埋めていこうとする経営手段です。そこには、「健康な従業員こそが収益性の高い会社をつくる」という経営心理学者のロバート・ ローゼン氏のヘルシーカンパニー思想があります。

3 健康経営はどう取り組むの?

 健康経営は、従業員の健康づくりです。従業員の健康は職場環境に影響されるため、職場環境を改善していくことが従業員の健康づくりとなります。
 従業員の健康づくりのための職場環境改善は、PDCAのマネジメントシステムを実行していくことで実現することができます。健康経営の取組みは、従業員の健康づくりのため職場環境をPDCAを実行しながら改善していくことなのです。

4 PDCAの取組み手順は?

① PDCAを実行するための基盤整備
 基盤整備として、先ず健康宣言したり、経営理念に健康宣言を盛り込みます。経営トップが健康経営に取り組む意思を社内外に明確に表明することが必要になります。次に、健康経営の実行組織として、担当部署、責任者、担当者を選任することが必要です。

② PD(計画・実行)
 P(計画)を策定するためには、定期健康診断やストレスチェック等により従業員の健康状態を把握し課題を発見します。そして課題解消のための対策を検討した上で優先順位を決定し、健康づくり計画(P)を策定します。健康づくり計画(P)には評価指標、実施責任者、実施期限などを盛り込み、企業としての優先的対策(メンタルヘルス対策など)を実行(D)していきます。

③ DA(評価・改善)
 健康づくり計画(P)の評価指標に基づき対策の効果を評価検討(C)し、未達成の場合はその原因を探求し、新たな改善策(A)を実行していきます。健康づくりは短期的に効果がでるものではなく、長期的にPDCAを継続していくことではじめて実現できるものです。

④ 経営トップの投資
 PDCAのマネジメントシステムによる職場環境改善活動を実効あるものにするためには、経営トップは、お金だけでなく、健康経営に取り組むための時間や必要な空間確保に投資していくことが必要になります。

⑤ 健康経営優良法人を目指す
 財務諸表によって企業の経営状況や資産状況を客観的に評価することかできますが、健康経営の取り組み状況については財務諸表のような評価手段がありません。そこで、企業は健康経営優良法人の認定を受けることによって、顧客や株主などに評価してもらうことができます。毎年多くの企業が健康経営優良法人の認定を受けホワイト企業として評価されています。ホワイト企業として評価を受けるためにも健康経営優良法人を目指すことが重要になります。

5 まとめ

 健康経営は、経営トップが従業員の健康づくりに投資をし企業の収益性を高めることによって、従業員を健康にし、企業の生産性を高め、少子高齢化に突入している日本社会を持続可能な社会に変革していくものです。そして、健康経営は、従業員と企業と日本社会を共にWin-Win-Winの関係にするものです。
 健康経営は、少子高齢化社会を克服する日本型経営手法として、必ず、世界から注目されることになるでしょう。