時間外労働の上限規制
時間外労働の上限規制のイメージ
1.36協定による時間外の上限規制を従来の大臣告示から、法律により月45時間、年360時間に改正。
2.従来36協定の特別条項の上限規制はなかったが、法律により年720時間、2~6か月平均80時間(休日労働含む)、月100時間未満(休日労働含む)と改正。ただし、この特別条項が認められる回数は年6回である。
3.適用時期は、大企業は2019.4からであり、中小企業は2020.4からである。
時間外労働の上限規制が設定された背景
1.日本は、欧米諸国に比べ総実労働時間が長い(H28年OECD調査)
日本1724時間、アメリカ1787時間、イギリス1660時間、フランス1423時間、ドイツ1298時間
2.日本は、欧米諸国に比べ長時間労働している人の割合が高い(データブック国際労働比較2018の週49時間以上の就業者の割合)
日本20.1%、アメリカ16.4%、イギリス12.2%、ドイツ9.3、フランス10.5時間
3.年休の取得率は20日程度と欧米諸国に比べ少ない 4.総実労働時間を短縮するためには、残業を抑制し、年休の取得促進を図る必要がある。
上限規制の適用が猶予・除外事業
そのほか、新技術・新商品等の研究開発業務については、上限規制の適用が除外されている。しかし、時間外・休日労働が100時間を超えた場合には医師による面接指導を罰則付きで義務付けている。
新たな「36協定の締結に当たって留意すべき事項に関する指針」の要旨について
1.時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめること。
2.使用者は、36協定範囲内であっても安全配慮義務を負うこと。
3.時間外労働・休日労働を行う業務の区分を細分化し、業務の範囲を明確にすること。
4.臨時的な特別の事情がなければ限度時間(月45時間、年360時間)を超えられないこと。限度時間を超える必要がある場合はできる限り具体的に定めること。そして、限度時間にできる限り近づけること。
5.限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保すること。
今回の改正で企業が留意すべき事項
1.特別条項の発動回数は年6回以内としましょう。
2.特別条項を発動する月については、時間外労働と法定休日労働の合計時間を80時間以内にしましょ
う。
3.法定休日も特定して時間管理をしやすくしましょう。
4.勤怠管理については、時間外労働と法定休日労働の合計時間や各月の累計額、そして月45時間を超
える月の回数を「見える化」しましょう。
5.36協定の様式が改正されています。