フレックスタイム制の見直し

フレックスタイム制の見直しイメージ

1.これまでのフレックスタイム制の清算期間の上限が「1か月」までとされていましたが、今回の改正で清算期間の上限が「3か月」まで延長されました。
2.清算期間が1か月だと、実労働時間が予め定めた総労働時間を超える場合に、超えた時間には割増賃金を支払わなければならなかったり、逆に、実労働時間が総労働時間に満たない場合は欠勤扱いになってしまいますが、清算期間が3か月まで延長されることで調整が可能となりました。

フレックスタイム制の見直しの背景

1. 多様な働き方を選択できる社会を目指す「働き方改革」を実現するために、より柔軟な働き方を選択できるようフレックスタイム 制の清算期間を延長したものです。
2. 改正前は、1か月を超える単位で業務の繁閑を調整することができませんでしたが、今回の改正で、例えば、4月、5月、6月の期間 の中で、4月と5月の繁忙期の時間を多くして、6月の閑散期に時間を少なくするという調整が可能になりました。

フレックスタイム制の時間外労働は、一般の時間外労働の算定と異なります

 1. フレックスタイム制の清算期間(1~3か月)の法定労働時間の総枠は上記のとおりです。この法定労働時間の総枠の範囲内で総労働時間を定めなければなりません。
2.  法定時間の計算式は、清算期間における総労働時間 ≧ 清算期間の暦日数/7日 × 1週間の法定労働時間(40時間)
3. 法定労働時間の総枠を超える場合は、時間外労働となるため、36協定を締結し労基署に届け出る必要があります。

清算期間が1か月を超える場合の時間外労働の算定方法

1. 先ず、清算期間を1か月ごとに区分した各期間で、実労働時間が上記の週平均50時間を超えた時間が時間外労働となります。
2. 次に、清算期間終了後に法定労働時間の総枠を超えた時間から、さらに、1の 週平均50時間を超えた時間 を差し引いた時間が時間外労働となります。
3. 最後に、1と2を足した時間が最終的な清算期間の時間外労働となります。

1.実労働時間を、例えば、4月220.0時間、5月180.0時間、6月140.0時間とした場合に、先ず、週平均50時間を超える4月の5.8時間が時間外労働となります。
2.次に、実労働時間540.時間から法定労働時間520.0時間を差し引き、さらに1の時間外労働の5.8時間を差し引いた14.2時間が時間外労働となります(540-520-5.8=14.2)。
3.最後に、5.8時間と14.2時間を足した20時間が最終的な清算期間の時間外労働となります。