年次有給休暇の時季指定義務

2019年4月に労働基準法が改正され、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇を付与されている労働者について、年次有給休暇日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させなければなりません。

年次有給休暇の時季指定義務導入の背景

1.平成27年12月に閣議決定された「第4次男女共同参画基本計画」の第3分野「雇用等における男女共 同参画の推進と仕事と生活の調和」の成果目標として、「2020年までに、有給休暇の取得率を70%にする」という目標が掲げられた。
2.平成29年の取得率は51.1%となっている(厚労省「就労条件総合調査:常用労働者が30人以上の民営法人対象」)。

年次有給休暇の時季指定義務対象者

使用者が年次有給休暇の時季指定を行う際の留意点

1.労働者からの意見聴取
使用者が年休の時季指定を行う場合は、あらかじめ当該有給休暇を与えることを当該労働者に明らかにした上で、その時季について当該労働者の意見を聞かなければなりません(新労基則24条の6第1)。
2.年次有給休暇管理簿の作成
年休の時季を労働者に与えるときは、時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにした書類(年次有給休暇管理簿)を作成し3年間保存しなければなりません。
3.就業規則への規定
休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項であるため、時季指定の労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。
4.年次有給休暇の計画的付与の活用
計画的付与によって、5日以上の年休の取得が決められていれば、使用者として今回の時季指定義務を履行しているものとされるため、積極的に計画的付与を活用すべきです。ただし、計画的付与は労使協定が必要になります。
5.半日単位の時季指定
半日単位の有給休暇を導入している企業は、時季指定についても半日単位で導入することができます。半日単位の年休日数は0.5日とカウントされます。